2023 年 11 月 2 日

  • 経口ゾリフロダシンは臨床第 3 相試験において、現在の国際標準治療である注射用セフトリアキソンと経口アジスロマイシンとの併用に対し、主要評価項目を達成した。
  • 当該試験の良好な暫定結果は、優先度の高い病原体である薬剤耐性淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対するファースト・イン・クラスの抗菌薬の開発において大きな一歩となる。
  • GARDP のような画期的な抗菌薬の研究開発パートナーシップモデルは、薬剤耐性(AMR)の高まりに対処するための他の抗菌薬の開発への道を拓くものである。

2023 年 11 月 1 日ジュネーブ(スイス)およびマサチューセッツ州ウォルサム(米国)にて、グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(GARDP)は、イノビバ社の子会社であるイノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社

(Innoviva Specialty Therapeutics, ナスダック:INVA )と共同で、本日、ファースト・イン・クラスの抗菌薬であるゾリフロダシンが、前例のない、極めて重要な第 3 相国際臨床試験において主要評価項目を達成したと発表した。研究者らは 、現在の世界的な標準治療であるセフトリアキソンの筋肉内注射とアジスロマイシンの経口投与の併用による治療と比較して、ゾリフロダシンの単剤経口投与は、 泌尿生殖器における細菌学的効果において統計学的に非劣性を示したことを明らかにした。 この試験では、ゾリフロダシンの忍容性は良好であり、重篤な有害事象や死亡例は記録されていない。

本研究は、世界保健機関(WHO)が優先的に取り組むべきとした病原体について、非営利団体がスポンサ ーとなり主導した初めての研究である。これらの肯定的な暫定的知見は、特に現在の治療法に対する抗菌薬耐性が高まる中で、この疾患を患う患者に希望を与えるものである。また、本研究は AMR との世界的な闘いにおいて新たな研究開発モデルへの道を拓くものでもある。ゾリフロダシンが承認されれば、淋病治療用の新規抗生物質としては数十年ぶりとなる。

「これは、淋病治療における大きな前進であり、世界的な AMR 危機の核心である公衆衛生上の欠陥を解決する上で、GARDP の官民パートナーシップモデルが重要な役割を果たすことができることを示しています。」と GARDP 代表のマニカ・バラセガラム氏は述べている。「公衆衛生上の価値が極めて高いにもかかわらず、淋病の新薬開発への投資は不足しています。このゾリフロダシン・プログラムは公衆衛生に最大の脅威をもたらし、他の方法では解決できないかもしれない多剤耐性菌を標的とした抗菌薬の開発が可能であることを示しています。」とバラセガラム氏は続ける。

毎年 8,200 万人以上が新たに感染する淋病は全世界で 3 番目に多い性感染症であり、男女ともに深刻かつ長期的な健康被害をもたらす可能性がある。淋菌は、その治療に使用される多くの抗菌薬に対して次第に耐性を獲得しており、その結果、セフトリアキソンの単回筋肉内注射が、世界的に淋菌感染症に対して推奨される最後の治療法となっている。

「本研究の結果は、性感染症の公衆衛生に変革をもたらす可能性があります。」本研究のプロトコル責任者であり、バーミンガムにあるアラバマ大学医学部名誉教授であるエドワード・W・フック III 世医学博士は、こう述べ た。「淋菌の耐性株に感染している患者にとってはゾリフロダシンが持つ潜在的な利点に加え、他の抗菌薬との交差耐性がない可能性があること、経口投与が可能であることから、世界中の臨床医にとって淋病治療が簡素化されるでしょう。」

最近の報告(The Lancet Infectious Diseases)によると、セフトリアキソン耐性感染症が急増しており、新たな抗菌薬の開発が急務となっている。効果的な治療法は、個人の疾病負担を軽減し、高度薬剤耐性淋病の世界的蔓延を防ぐために不可欠である。淋病を治療せずに放置しておくと、女性の不妊症や生命を脅かす子宮外妊娠、骨盤内炎症性疾患を引き起こすこともある。

「この研究の成功は、淋菌感染症への対処法に大きな影響を与える可能性があります。注射の代わりに経口剤を使用することで、患者の治療へのアクセスやコンプライアンスが改善され、抗菌薬耐性株の増加を抑えることができるからです。」と、イノビバ社の最高経営責任者(CEO)であるパベル・ライフェルド氏は語る。「このような好ましい結果は、イノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社にとって重要な一歩であり、集中治療および感染症に取り組む当社の地位を強化するものです。」

ゾリフロダシンは、細菌の機能と増殖に不可欠な II 型トポイソメラーゼと呼ばれる重要な細菌酵素を阻害するというユニークな作用機序を持っている。これまでの in vitro 研究では、セフトリアキソンやアジスロマイシンの耐性菌を含む淋菌の多剤耐性株に対して有効であり、他の抗生物質との交差耐性はないことが示されている。今回、画期的な第 3 相臨床試験において良好な結果が得られ、ゾリフロダシンには最も治療困難な淋菌感染症に 対処できる可能性があることが確認された。

この第 3 相臨床試験は、女性、青少年、HIV 感染者を含む単純性淋病患者計 930 例が登録され、淋菌感

染症に対する新規治療薬としては過去最大の臨床試験が、ベルギー、オランダ、南アフリカ、タイ、米国の 5 カ

国にまたがる淋病有病率の高い地域の 16 施設で実施された。この試験では、合併症を伴わない淋病の治療において、ゾリフロダシン 3g の単回経口投与と、世界的に認知されている標準治療法(セフトリアキソン筋注 500mg+アジスロマイシン 1g 経口投与)を比較した。

経口ゾリフロダシンは、セフトリアキソン筋注および経口アジスロマイシンと比較して、事前に規定した統計学的検定で非劣性が示された(5.31%(95%CI 1.38, 8.65%))。ゾリフロダシンの非劣性は、事前に規定された マージンである 12%以内、さらに FDA ガイダンスで規定されたマージン 10%以内でも証明された。

GARDP は、すべての低所得国とほとんどの中所得国、そしていくつかの高所得国を含む、世界の 4 分の 3 以上の国で製品を登録し商品化する権利を有している。GARDP は、ゾリフロダシンに規制当局の承認が得られている市場において、パートナーや現地の保健当局と協力し、適切かつ持続可能な使用を確保しつつ、アンメット・メディカル・ニーズに対応して治療を受けられるようにするため、その治療へのアクセスの障壁を取り除くことに取り組んでいる。なお、イノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社の関連会社であるエンタシス・セラピューティクス社は、北米、欧州、アジア太平洋および中南米の主要市場においてゾリフロダシンの商業権を保有している。

GARDP 主導の本試験には、ドイツ政府(BMBF と BMG)、英国政府(DHSC、GAMRIF、DFID)、日本政府(厚生労働省)、オランダ政府(VWS、BZ)、スイス政府(FOPH)、ルクセンブルク大公国政府、さらにジュネーブ州、南アフリカ MRC、レオ・モデル財団からの資金援助があった。なお、本試験は米国の米国国立 アレルギー・感染症研究所(NIAID)がスポンサーとなった重要な第 II 相臨床試験に基づくものである。

GARDP | Global Antibiotic Research and Development Partnership

(グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ)

GARDP は、健康に最大の脅威をもたらす薬剤耐性菌感染症の新規治療薬を開発するスイスに拠点を置く非営利団体です。抗菌薬を必要とするすべての人が、有効で入手可能な価格で治療を受けられるようにするた

め、2016 年に世界保健機関 (WHO) および DNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ) により発足し、2018 年に法人化しました。GARDP は、オーストラリア、ドイツ、日本、モナコ、オランダ、カナダ、南アフリカ、スイス、英国、スイス・ジュネーブ州の各政府、欧州連合、ならびにウ ェルカム・トラスト他、民間財団から資金提供を受けています。また、GARDP Foundation として法人登録され ています。www.gardp.org

イノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社について

イノビバ社の子会社であるイノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社は、集中治療と感染症分野において革新的な治療法の提供に注力している。イノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社の製品には、関連会社である  ラ・ホーヤ・ファーマシューティカル社の、敗血症性ショックやその他の血液分布異常性ショックを伴う成人の血圧上昇に承認されている GIAPREZA®(アンジオテンシン II)や、成人の合併症を伴う腹腔内感染症を治療する XERAVA®(エラバサイクリン)などが含まれる。イノビバ・スペシャリティ・セラピューティクス社の製品には、関連会社であるエンタシス・セラピューティクス社の、Acinetobacter baumannii-calcoaceticus complex (アシネトバクター属) の感受性株によって引き起こされる成人の院内細菌性肺炎および人工呼吸器関連細菌性肺炎の治療薬として承認された静脈内投与用 2 剤併用パッケージ XACDURO®(注射用スルバクタム、注射用デュロバクタム)が含まれる。当社の第 III 相開発パイプラインには、成人の合併症を伴わない淋病に対する新規治療薬ゾリフロダシンが含まれる。イノビバ・スペシャルティ・セラピューティクス社についての詳細はこちらをご覧ください。