2023 年 10 月 19 日

Global Antibiotic Research & Development Partnership(グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ、以下 GARDP)はこのたび、GARDP による薬剤耐性(Antimicrobial Resistance、AMR)菌感染症に対する新たな治療法の開発と、それらを最も必要とする人びとが利用できるようにするための取り組みに対し、日本政府から継続的な資金拠出が行われたことをお知らせします。

日本政府による資金は、GARDP の科学的研究や新規化合物の探索、小児および成人の重症細菌感染症、新生児敗血症、性感染症に対する治療法開発等の支援に充てられます。

日本政府はこの度、2023 年 4 月から 2024 年 3 月までの活動期間に対し、GARDP に約 180 万米ドルの資金拠出を行いました。これは、日本政府が誓約した 2020 年度から 2024 年度にわたる GARDP への拠出総額 10 億円の一部です。

GARDP 代表のマニカ・バラセガラム医師は、「日本政府からの支援は、最も治療の難しい薬剤耐性菌に有効な治療法を開発し、特に女性や子どもなど、脆弱な立場におかれている人びとが新しい治療法を利用できるようにするための私たちの取り組みを加速するものです」と述べました。

GARDP を支援する日本政府は、2023 年先進国首脳会議(以下、G7)の議長国を務めています。本年の G7 において各国の首脳保健相は、抗菌薬への公平なアクセスと適正使用を促進し、公衆衛生上必要とされる抗菌薬の持続可能な供給の重要性を改めて強調しました。また、GARDP および、 GARDP と世界保健機関が主導する、薬剤耐性菌感染症に不可欠な新規抗菌薬へのアクセス確保を目的とした世界的なイニシアティブ、SECURE(セキュア)への支援と抗菌薬の研究開発とアクセスを促進するプッシュ型およびプル型のインセンティブ注 1 への取り組みを加速することを表明しました。

日下 英司 厚生労働省大臣官房国際保健福祉交渉官は、「長崎で開催された G7 保健大臣会合では、将来のパンデミックの予防・準備・対応、そしてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ注2 を実現するための国際協力を引き続き強化する必要性が確認されました。私たちは、薬剤耐性菌感染症の治療法を開発するとともに、それを必要としている人びとが利用できるようにするという、この 2 つの目標に向かって活動する GARDP を引き続き支援できることを誇りに思います」と述べました。

GARDP は、今年 3 月に新生児敗血症の治療に必要な新しい抗菌薬の組み合わせを評価する国際的な臨床試験の第 1 段階を南アフリカとケニアで開始しました。この臨床試験は、2024 年以降の第 2 段階で他の国や地域に拡大し、最大 3,000 人の新生児を対象に臨床試験を行うことを目標としています。GARDP は、第 2 段階における臨床試験候補施設の実施可能性評価において、日本の国立国際医療研究センター(NCGM)と協力しており、アジア地域における同センターの関連施設 の参加が見込まれています。塩野義製薬株式会社は、この取り組みに薬剤を提供する形で協力しており、同社の「フルマリン®(一般名フロモキセフ)」が、新生児敗血症の新しい治療法の組み合わせの候補となることが期待されています。

GARDP は、また、抗菌活性を有する新規化合物の発見を目指し、エーザイ株式会社、武田薬品工業株式会社、第一三共株式会社、住友ファーマ株式会社、田辺三菱製薬株式会社といった複数の日本企業から提供された化合物ライブラリーのスクリーニングを行っています。

GARDP は今年度中に、必要な抗菌薬の開発と供給を実現する枠組みの確立に向けた新たな 5 カ年戦略計画を発表します。この計画では、これまでに GARDP が達成した重要なマイルストーンを確認すると同時に、2028 年までの達成目標を明示します。

注 1:「プッシュ型インセンティブ」 は、助成金、税金控除、規制緩和など、研究開発支援を目的としたもの。「プル型インセンティブ」は、特許や市場参入への報酬など、研究開発の収益性を高めることを目的としたもの。

(出典:AMR アライアンス ・ジャパン発行「抗菌薬の研究開発を促進するインセンティブ ・モデルの策定」

注 2: ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは、「すべての人々が適切な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で受けられる状態」を指す。

GARDP | Global Antibiotic Research and Development Partnership

(グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ)

GARDP は、健康に最大の脅威をもたらす薬剤耐性菌感染症の新規治療薬を開発するスイスに拠点を置く非営利団体です。抗菌薬を必要とするすべての人が、有効で入手可能な価格で治療を受けられるようにするた

め、2016 年に世界保健機関 (WHO) および DNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ) により発足し、2018 年に法人化しました。GARDP は、オーストラリア、ドイツ、日本、モナコ、オランダ、カナダ、南アフリカ、スイス、英国、スイス・ジュネーブ州の各政府、欧州連合、ならびにウ ェルカム・トラスト他、民間財団から資金提供を受けています。また、GARDP Foundation として法人登録され ています。www.gardp.org